公務員小国 2020 9 13

書名 中央公論 2020 10
   特集 コロナで見えた公務員「少国」

 まずは、引用から始めましょう。
これは、座談会の出席者の発言です。
 これまで市区町村は、
二つの相反する国策にさらされてきました。
 2000年に地方分権一括法が施行され、
仕事が(市区町村へ)どんどん下ろされました。
これは地方の側が望んだからです。
 しかし、政府はその後、
地方公務員数を4.6%以上減らすなど打ち出しました。
仕事だけ下ろして、財源はほどほどにしか与えない。
 しかも、総人件費を抑制して、職員を減らす。
全く逆の政策が同時に進められたのです。
 各自治体とも日常業務がかなり厳しくなっていたところに、
大規模災害が多発する時代となり、
現場がパニックとなりました。
 この20年ほどで、
職員数は3分の1ほど減りました。
 このため、一人の職員が、
いくつもの係を担当していて、
多い人は4〜5係持っています。
(引用、以上)
 私は、昔、知的障害者福祉について、
行政のマンパワーを調べたことがあります。
 今は、組織名が違うかもしれませんが、
私の記憶が正しければ、こうだったと思います。
 東京都においては、障害福祉部知的障害福祉課、
県レベルにおいては、障害福祉課知的障害福祉係、
大規模の市役所も、障害福祉課知的障害福祉係、
中規模の市役所は、福祉課障害福祉係、
小規模の市町村では、住民福祉課福祉係だったと思います。
 これで、全国一律の行政サービスを受けられるのか。
大いに疑問を持ったことがありました。
 東京都においては、障害福祉部知的障害福祉課という組織なので、
マンパワーも強力であり、知的障害の専門家も豊富だと推定できます。
 一方、小規模の市町村となると、住民福祉課福祉係なので、
住民票の事務をしながら、
身体障害福祉、知的障害福祉、精神障害福祉の事務をやるのかと思いました。
 つまり、大きな自治体の職員は、特定分野の専門家になっていき、
小さな自治体は、一人で何でもこなす「スーパーマン」にならざるを得ないと思います。
 確かに、東京都の職員は、その専門知識を生かして、
大学教授になる人がいると聞いたことがあります。
 一方で、小規模市町村の「スーパーマン」は報われず、
疲弊疲労していくだけなのか。
これでは、持続可能とは思えません。
むしろ、住民が職員を支える仕組みを作っていくべきでしょう。
「スーパーマン」は、地域社会にとって、大切な宝だからです。


























































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